「土地」と「資産」と地価を引き上げるスクラップ&ビルド策は限界に達しつつある。日本銀行調査統計局の「地価とファンダメンタルズ−加重平均公示指標を用いた長期時系列分析」によれば、一九八〇年の地価を一〇〇とすると九〇年ころに三〇〇まで上昇したが、バブル崩壊後一転して下落しつづけ、二〇〇〇年には一〇〇を切り、横ばいだ。国民の所得環境や金利水準、成長率、少子高齢化の社会情勢などを加味すれば、ピンポイントの超高層建設で大都市圏の地価が一時的に上昇しても、もはやそれがマクロ的な経済を押し上げる力にはなりえない。
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と。するならば、われわれ市井に生きる人間は、生命と財産を守る住宅の価値を長く保って自己防衛するほかはない。新しいマンションは「生活コミュニティー」を築くため、異分子やマナーを無視する住人も含めて共同体の絆づくりに着手しなければならないだろう。改めて書くのも面映ゆいが、エレベーターでの「おはよう」「こんにちは」はコミュニケーションの初手である。建物の老朽化と住人の高齢化という「ふたつの老い」に直面するマンションは、第三者、地域との関係をもう一度結び直さなければなるまい。壊して建てるのではなく、建物を活かす、本来的な意味での「再生=リノベーション」と医療や介護、教育などの分野からの介入は早急に行っていく必要がある。