街の景観は、日本のみならず、アジアの国々が共通して劣悪な状況にあるのはご存じのとおりです。それを経済力の貧しさのせいにするのは簡単ですが、私はその根底に、鴨長明の『方丈記』にあるように「行く川の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず……」といった、家に対する一種のあきらめのような、あるいは開き直りのようなものを感じるのです。住宅などは、もともと壊れてしまって当然のもの、まあいいじゃない……といった意識ですが、反面、たかが住宅の善し悪しなどで自分の人生は左右されないといった、一種のおおらかさとしてとらえることもできます。しかし、そうした考え方は、経済力の貧しい時代だからこそ許されたのであって、クルマや電化製品、欧界中の食べ物にあふれ、資源の枯渇が目に見えてきた現代の生活から照らし合わせた場合では、状況が異なります。造っては壊し、壊してはまた造るという非循環のサイクルが許される時代ではないのです。
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